
「データ消去証明書をもらってください」と言われたものの、何が書かれていれば十分なのかが分からない——監査対応の担当になった方から、よくいただく相談です。
証明書は「もらえばよい」書類ではありません。必要な項目が欠けていると、監査で指摘を受けたり、いざというときに説明責任を果たせなかったりします。
この記事では、証明書に必須の記載項目を見本形式で示し、確認すべきポイントを解説します。
データ消去証明書は、「対象機器のデータが、特定の方式で、確実に消去されたこと」を第三者に示す書類です。
重要なのは、これが産業廃棄物管理票(マニフェスト)とは別物という点です。
書類 | 何を証明するか |
|---|---|
データ消去証明書 | データが復元不能になったこと |
産業廃棄物管理票(マニフェスト) | 廃棄物が適正に運搬・処分されたこと |
「マニフェストをもらったから大丈夫」ではありません。データの観点では別途、消去証明書が必要です。
区分については産業廃棄物と一般廃棄物の違いで解説しています。
以下は、実務で通用する証明書の構成例です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ データ消去証明書 証明書番号:2026-0001 発行日:2026年9月17日○○株式会社 御中下記の記録媒体について、当社にて記載の方式によりデータ消去を実施し、データが復元不能であることを証明いたします。【消去方式】 NIST SP 800-88 Rev.1 準拠(上書き消去) ※または DoD 5220.22-M 準拠(3回上書き) ※または 物理破壊(穿孔/破砕)【実施日】 2026年9月10日【実施場所】 兵庫県神戸市西区伊川谷町有瀬846-10【対象機器】 別紙一覧のとおり(全 25 台)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行者:BULLCOM(ブルコム) 所在地:〒651-2113 兵庫県神戸市西区伊川谷町有瀬846-10 古物商許可:兵庫県公安委員会 第631500200039号 責任者:芦原 陽右 (社印)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━No. | メーカー | 型番 | シリアル番号 | 媒体種別 | 容量 | 消去方式 |
|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 例:DELL | OptiPlex 3070 | ABC123456 | HDD | 500GB | 上書き(NIST準拠) |
2 | 例:NEC | VersaPro VK23 | DEF789012 | SSD | 256GB | 物理破壊(穿孔) |
… | … | … | … | … | … | … |
証明書を受け取ったら、以下が揃っているか確認してください。
最重要項目です。 メーカー・型番だけでなく、シリアル番号が必要です。
シリアル番号がないと、「自社のどの端末を処理したのか」を証明できません。監査で「この証明書はどの機器のものですか」と問われて答えられない事態になります。
台数が多い場合は、別紙の一覧表で構いません。ただし証明書本体と一覧が紐づいていること(証明書番号の記載など)を確認してください。
「データを消去しました」だけでは不十分です。どの方式で、どの規格に準拠したかを明記してもらいます。
実務でよく参照される規格:
物理破壊の場合は、破壊方法(穿孔・破砕・圧壊)と対象部位を記載します。
規格の詳細はNIST準拠のデータ消去とはをご覧ください。
いつ処理したかが記録されている必要があります。機器を引き渡した日と、実際に消去した日が異なる場合、消去日が記載されているかを確認してください。
許可番号の記載がない業者は、そもそも適法に営業しているか確認が必要です。
書類管理のうえで必要です。証明書番号があると、別紙との紐付けや、後からの照会がしやすくなります。
個人情報保護マネジメントシステム(Pマーク)やISMS(ISO/IEC 27001)を運用している組織では、機器廃棄時の記録が審査対象になります。
「適切に廃棄した」ことを記録で示せないと、不適合の指摘を受ける可能性があります。
個人情報保護法上、事業者には安全管理措置の義務があります。廃棄時の措置も含まれます。万一の漏洩時に「適切に処理した」と説明できる資料として、証明書が機能します。
補助金で購入した機器の処分では、議会や監査への説明が求められます。GIGAスクール端末のように児童生徒の情報を扱っていた場合は特に重要です。
GIGAスクール端末のデータ消去もご参照ください。
契約により、返却時のデータ消去証明を求められる場合があります。契約書を確認してください。
リース返却前のデータ消去はどうする?で解説しています。
会計上の除却にあたり、処分の事実を示す資料として使われることがあります。
固定資産除却の経理処理と廃棄証明書もご覧ください。
「パソコン30台のデータを消去しました」——これだけでは、どの30台かが分かりません。シリアル番号一覧を必ず求めてください。
「適切に処理しました」という表現だけでは、水準を示せません。規格名の記載を求めてください。
発注時に「証明書が必要」と伝えてください。 後から依頼すると、シリアル番号の記録が残っておらず発行できないことがあります。
証明書は発行されたら終わりではありません。社内で保管する期間とルールを決めてください。マニフェストは法定5年保管ですが、消去証明書は自組織の規程に従います。
証明書の発行費用は業者により異なります。
形態 | 目安 |
|---|---|
1台ごとの発行 | 1,000〜3,000円/枚 |
複数台をまとめて1枚+別紙一覧 | 1,000〜5,000円程度 |
消去費用に含まれる(無料) | 一部業者 |
BULLCOMでは1,000円/枚で発行しています(データ消去自体は標準無料)。
Q. 個人でも証明書を発行してもらえますか?
A. 可能です。ただし個人利用では必須ではないため、必要かどうかご検討ください。フリーランスの方が顧客情報を扱っていた端末を処分する場合などは、取得しておくと安心です。
Q. 電子データ(PDF)でももらえますか?
A. 業者によります。監査での提出方法に応じて、紙・PDFどちらが必要かを事前に確認してください。
Q. 過去に処分した機器の証明書を、今から発行してもらえますか?
A. 原則できません。 処理時の記録がなければ証明できないためです。処分前に依頼することが必須です。
Q. 物理破壊でも証明書は出ますか?
A. 出ます。この場合は「破壊証明書」という名称になることもあります。破壊方法と対象部位が記載されます。
Q. 立会いをした場合、証明書は不要ですか?
A. 立会いをしても証明書は取得してください。立会いは「その場で確認した」記録ですが、書面がないと第三者に説明できません。
証明書で確認すべきは次の5点です。
そして最も大事なのは、発注の時点で「証明書が必要」と伝えることです。後付けでは発行できません。
BULLCOMは古物商許可業者(兵庫県公安委員会許可 第631500200039号)として、証明書付きのデータ消去に対応しています。
監査要件に合わせた記載内容のご相談も承ります。まずはお気軽にお問い合わせください。
この記事の著者
芦原 陽右BULLCOM 代表
兵庫県公安委員会許可 第631500200039号。神戸・明石でパソコン・IT機器の無料回収・データ消去サービスを提供。 2002年創業のITコンサルティング会社を運営し、個人から法人まで年間多数の機器を適正処理。
会社概要を見る →