
GIGAスクール端末の更新にあたり、旧端末の撤去・処分を委託する場合、仕様書の書き方で結果が大きく変わります。
「データ消去のうえ適正に処分すること」——この一文だけでは、業者によって提供される水準がバラバラになります。安価な見積もりを選んだ結果、必要な証明書が出てこない、という事態が起こりえます。
この記事では、仕様書・見積依頼に盛り込むべき項目を、実務の観点から整理します。
同じ「データ消去」でも、以下のように幅があります。
どれも「データ消去をした」と主張できます。 水準を指定しなければ、最も安く済む方法が選ばれます。
「証明書が必要だと後で分かった」——処理後にこれが判明すると、記録が残っていないため発行できません。やり直しは物理的に不可能です。
仕様の段階で漏らさないことが、結果的に最も安く済みます。
保管庫は大型で数量もまとまるため、含めるかどうかを明記してください。含める場合は搬出経路(エレベーターの有無等)も情報提供します。
以下のいずれかを明記します。
【記載例】データ消去は、NIST SP 800-88 Rev.1 に準拠した方式で行うこと。記録媒体の故障等により上書き消去が実施できない端末については、物理破壊(穿孔または破砕)により処理すること。「適切な方法で」ではなく、規格名を書くのがポイントです。
規格の詳細はNIST準拠のデータ消去とはをご覧ください。
【記載例】データ消去完了後、以下を記載した証明書を提出すること。 (1) 対象機器のメーカー・型番・シリアル番号(全台分の一覧) (2) 消去方式および準拠規格 (3) 実施日および実施場所 (4) 実施事業者名、責任者名、古物商許可番号シリアル番号の全台記載を明記してください。これがないと管理簿と突合できません。
データ消去証明書の見本と読み方で記載項目を詳しく解説しています。
【記載例】物理破壊を行う端末については、発注者の立会いのもとで実施すること。立会いの日程は事前に協議のうえ決定する。全数立会いが難しい場合は、「抜き取りで立会う」旨を記載します。立会い費用が別途かかる場合があるため、見積もりに含めるよう指示してください。
新端末の納品時期と重なる場合、置き場所の競合が起きます。「撤去した分から順次搬出」という条件を入れておくと、現場が回りやすくなります。
【記載例】動作可能な端末については、データ消去のうえリユース(買取)を可能とする。買取価格を提示し、処分費用と相殺した金額を見積もること。買取を認めると、処分費用を圧縮できます。ただし売却収入の会計処理について、事前に財務担当と確認してください。
GIGAスクール端末のリユースで選択肢を整理しています。
【記載例】産業廃棄物として処理する場合は、廃棄物処理法に基づく許可を有する業者が収集運搬・処分を行い、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写しを提出すること。データ消去証明書とマニフェストは別物です。両方必要な場合は、両方明記してください。
古物商許可のみを持つ業者は、リユース・データ消去は担えますが、産業廃棄物の収集運搬はできません。提携業者への委託という形になるため、その体制も確認します。
【記載例】・古物商許可を有すること(許可番号を明記のこと)・データ消去に関する実績を有すること・産業廃棄物処理が必要な場合、許可業者との連携体制を有すること複数社から見積もりを取る場合、同じ条件で比較できているかを確認してください。
確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
消去方式 | 規格が揃っているか。「初期化」で済ませていないか |
証明書 | シリアル番号一覧が含まれるか。追加費用か |
立会い | 費用に含まれるか。別途か |
買取 | 査定額が明示されているか |
運搬費 | 含まれるか。校数分計上されているか |
保管庫・付属品 | 対象に含まれるか |
産廃処理 | マニフェスト発行の有無 |
総額だけを比較すると、条件の違いを見落とします。 上記を項目別に並べて確認してください。
1回の作業で完結できる規模です。撤去日を1日決め、まとめて処理します。
学校ごと、または数回に分けて搬出します。証明書を回ごとに分けるか、最後にまとめるかを事前に決めてください。
事前の現地確認を依頼することをおすすめします。
これらを踏まえないと、当日に作業が滞ります。
Q. 少額随意契約の範囲で収まりますか?
A. 台数と処理内容によります。買取がつく場合、収入と支出の関係で契約形態が変わることがあります。財務・契約担当と事前に確認してください。
Q. 端末のリース満了とタイミングが重なります。
A. リース物件は所有権がリース会社にあるため、処分ではなく返却になります。返却前のデータ消去のみを委託する形になります。
リース返却前のデータ消去はどうする?をご参照ください。
Q. 破損・紛失した端末はどう記載しますか?
A. 管理簿と実機の差分を明確にし、「紛失〇台」として記録を残してください。処分の証明書には現存する端末のみが記載されます。
Q. 複数校をまとめて1つの契約にできますか?
A. 可能です。むしろ一括のほうが単価が下がる傾向があります。ただし学校ごとの証明書が必要な場合は、その旨を仕様に含めてください。
Q. 消去だけ依頼して、端末は手元に残せますか?
A. 可能です。校内転用する場合などに使われる形です。出張での消去対応が可能か、業者に確認してください。
処理そのものより、要件定義に時間をかけてください。後戻りができない工程です。
BULLCOMは古物商許可業者(兵庫県公安委員会許可 第631500200039号)として、自治体・学校のご依頼に対応しています。
仕様書の作成段階でのご相談も歓迎します。要件の整理からお手伝いできます。
この記事の著者
芦原 陽右BULLCOM 代表
兵庫県公安委員会許可 第631500200039号。神戸・明石でパソコン・IT機器の無料回収・データ消去サービスを提供。 2002年創業のITコンサルティング会社を運営し、個人から法人まで年間多数の機器を適正処理。
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