
パソコンを捨てるだけなのに、なぜ手続きが面倒なのか——背景には複数の法律が関わっているためです。
しかも、家庭から出るか事業所から出るかで、適用される法律が変わります。ここを取り違えると、知らないうちに違反状態になることがあります。
この記事では、関係する3つの法律を整理し、実務で押さえるべき点をまとめます。
法律 | 何を定めているか | 主に関わる場面 |
|---|---|---|
資源有効利用促進法(PCリサイクル法) | メーカーの回収・リサイクル義務 | 家庭用パソコンの処分 |
廃棄物処理法 | 廃棄物の適正な処理 | 事業所からの処分 |
個人情報保護法 | 個人データの安全管理 | データ消去 |
これに加え、中古品として扱う場合は古物営業法(業者側の許可)が関係します。
メーカーに、自社が販売した家庭用パソコンを回収・リサイクルする義務を課しています。2003年10月から施行されました。
利用者側から見ると、「メーカーに引き取ってもらえる」制度です。
プリンター、スキャナー、キーボード、マウス等の周辺機器は対象外です。
2003年10月以降に販売された家庭向けパソコンには、購入時にリサイクル料金が含まれており、マークが貼られています。マークがあれば、廃棄時の追加費用はかかりません。
マークがない機種(2003年9月以前の製品)は、廃棄時に3,300〜4,400円程度の料金が発生します。
この法律があるため、パソコンは自治体の粗大ゴミとして収集されません。「メーカーが責任を持つ」という制度設計だからです。
詳細はPCリサイクル法の対象機器一覧をご覧ください。
この法律の回収スキームは家庭用パソコンが対象です。事業所で使っていたパソコンは、次の廃棄物処理法の領域になります。
事業活動に伴って生じた廃棄物は、産業廃棄物として扱われます。パソコンの場合、金属くず・廃プラスチック類などに該当します。
「会社で使っていたパソコンを家庭ごみに出す」のは違法です。規模の大小や、個人事業主かどうかは関係ありません。
学校・自治体・NPOなども「事業者」に含まれます。
産業廃棄物の収集運搬・処分を他者に委託する場合、都道府県知事の許可を受けた業者でなければなりません。
無許可業者に委託した場合、委託した側も罰則の対象になります。「知らなかった」では済みません。
委託時にはマニフェストを交付し、処理完了後に返送される写しを5年間保管する義務があります。
これにより、「確かに適正に処理された」ことを追跡できる仕組みになっています。
まだ使える機器を買い取ってもらう場合、それは「廃棄物」ではありません。 有価物として売却する取引になるため、マニフェストは不要です。
この違いが実務上とても重要です。
ルート | 廃棄物処理法の適用 | マニフェスト |
|---|---|---|
産業廃棄物として処分 | ○ 適用 | 必要 |
リユース(買取・売却) | × 適用外 | 不要 |
産業廃棄物と一般廃棄物の違いで詳しく解説しています。
個人情報を取り扱う事業者には、安全管理措置を講じる義務があります。これは保管中だけでなく、廃棄時にも及びます。
パソコンを廃棄する際、中の個人データを適切に消去しないまま手放して情報が漏洩した場合、義務違反を問われる可能性があります。
データ消去を業者に委託する場合、委託先を適切に監督する義務があります。「業者に任せたから責任はない」とはなりません。
そのため、以下が実務上重要になります。
一定の要件に該当する漏洩が発生した場合、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務づけられています。
廃棄した機器からの漏洩も対象になりえます。証明書があれば、適切な措置を講じていたことを示す資料になります。
データ消去証明書の見本と読み方をご覧ください。
項目 | 家庭から出る場合 | 事業所から出る場合 |
|---|---|---|
適用される主な法律 | 資源有効利用促進法 | 廃棄物処理法 |
メーカー回収(PCリサイクル) | ○ 利用できる | 原則対象外(法人向け窓口は別) |
自治体の回収ボックス | ○ 利用できる | × 利用できない |
マニフェスト | 不要 | 必要(産廃として処分する場合) |
個人情報保護法 | (事業者でなければ)対象外 | ○ 適用 |
最も多い誤解は、「事業所のパソコンを自治体の回収ボックスに入れる」ケースです。 これはできません。
廃棄物処理法違反として、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(またはその併科)が科される可能性があります。法人には最大3億円の罰金が科されることもあります。
無許可業者に渡した結果、その業者が不法投棄した場合、委託した側も責任を問われることがあります。
委託基準違反として罰則の対象になります。「無料回収」をうたう業者の中には無許可のものが含まれるため、注意が必要です。
個人情報保護法上の措置に加え、損害賠償請求や信用の失墜といった実務上の損失が発生します。
「無料回収」のからくりと違法業者の見分け方もご覧ください。
ここを間違えると、以降の手続きがすべてずれます。
許可番号を明示している業者を選んでください。両方を自社で持たない業者は、提携先との連携体制を確認します。
「適正に処理した」ことを、後から書面で示せる状態にしておきます。
Q. 個人事業主のパソコンはどちら扱いですか?
A. 事業で使っていたなら事業系です。自治体の回収ボックスは利用できません。家庭と兼用の場合の扱いは自治体により見解が異なるため、確認をおすすめします。
Q. 自宅で使っていた会社支給のパソコンは?
A. 所有者が会社であれば、会社の資産として処理します。個人で処分せず、会社に返却してください。
Q. 少量なら事業所のものでも家庭ごみに出せますか?
A. できません。 量の多寡は関係ありません。
Q. NPO・自治会でも事業者になりますか?
A. 継続的な活動に伴って出る廃棄物であれば、事業系として扱われるのが一般的です。自治体にご確認ください。
Q. 無料回収業者に渡すのは合法ですか?
A. 適法な業者であれば問題ありません。 リユース目的で古物商許可業者が引き取る形であれば、廃棄物処理法の枠外の取引になります。許可の有無を必ず確認してください。
BULLCOMは古物商許可業者(兵庫県公安委員会許可 第631500200039号)です。許可番号を明示し、処理の流れを書面でご説明します。
「うちの場合はどの扱いになるか」というご相談だけでも構いません。
この記事の著者
芦原 陽右BULLCOM 代表
兵庫県公安委員会許可 第631500200039号。神戸・明石でパソコン・IT機器の無料回収・データ消去サービスを提供。 2002年創業のITコンサルティング会社を運営し、個人から法人まで年間多数の機器を適正処理。
会社概要を見る →神戸・明石でパソコン処分なら BULLCOM へ
古物商許可業者がデータ消去まで責任対応。明石市・神戸市西区は出張回収無料。
神戸・明石以外の方も、宅配回収なら回収費無料(送料のみご負担)で全国から送れます。
